高齢者の爪白癬と肥厚爪のケア|爪が分厚くなる原因と対処法

足のトラブル

爪が分厚くなって、自分ではなかなか切れない…。
靴下に引っかかったり、靴を履くと痛かったりしていませんか?

高齢になると、足の血流の低下や白癬菌(はくせんきん/いわゆる爪水虫)の感染が原因で、爪が厚く・硬く・変色してしまうことがあります。
このような「爪白癬」は、放っておくと爪が変形して歩きにくくなったり、感染が広がって皮膚炎を起こすこともあります。

私は訪問フットケアを通して、こうしたお悩みを抱える高齢の方々の爪のケアを行っています。
爪を清潔に整え、足浴で洗浄し、保湿ケアを続けることで、痛みやトラブルを防ぐことができます。

今回は、実際に私が訪問している高齢の方の爪白癬(爪水虫)ケアの事例と、
爪が厚くなる原因、放置するリスク、そしてご自宅でできる対策についてお伝えします。

爪が厚くなる原因はいくつかありますが、もっとも多いのは 爪白癬(つめはくせん)、いわゆる「爪の水虫」です。
白癬菌というカビの一種が爪の中に入り込むことで、爪が白く濁ったり、黄色く変色したり、硬く分厚くなっていきます。

また、高齢になると血流が悪くなったり、爪の乾燥が進んだりして、爪の生え変わりのサイクルが遅くなります。
そのため、爪が伸びる途中で厚く変形してしまうこともあります。
糖尿病や動脈硬化など、血流の障害を起こしやすい病気がある方では特に注意が必要です。

放置するとこんなリスクが

  • 爪が靴や靴下に引っかかって 痛みや出血が起こる
  • 分厚くなった爪が指に食い込み、巻き爪や炎症を起こす
  • 爪の下に菌がたまり、臭いや感染の原因になる
  • 爪白癬を放置すると、**蜂窩織炎(ほうかしきえん)**などの全身感染症に進行することもある

爪は小さな部分ですが、足のバランスや歩く力に大きく関わっています。
「厚くなってきたけれど、まだ痛くないから大丈夫」と放置せず、早めにケアを始めることで、トラブルを防ぐことができます。

80代 3年前自宅訪問ケアをした叔母
2ヶ月に1回 爪ケア実施中 未治療

私が訪問で行っているケア方法

私の訪問フットケアでは、爪の状態や体調を確認しながら、「爪を清潔に・安全に整える」ことを大切にしています。

お伺いしたときは、まずお話を伺いながら足を見せていただき、爪の厚み、色、皮膚の状態を一緒に確認します。

汚染防止をする

まずは、ご挨拶で笑顔でお話できるかどうか、を確認します。体調が悪いかな、自宅に来る人に不安、不審感はないかな、と確認するためです。

お声かけしながら、セッティングをご本人、ご家族と決めていきます。

椅子がいいか、ベッドがいいか、座った方がいいか、など考えつつ、爪を切る体制を作っていきます。

場所が決まったら、汚染防止のシート(白い1m幅のシートを切ったもの)と45Lのゴミ袋を準備、集塵機も準備します

足のアセスメント

施設ではぬるま湯を使った足浴で、最初に爪や皮膚の汚れをやさしく落としますが、ご自宅訪問の場合はスキンフローラプロ(角質軟化剤及び消毒)を使って拭き取ります。

拭き取りながら、爪周りの各位sつ状況、爪の長さ、爪の形、足の裏などを観察します。
角質軟化剤を少し噴霧し、爪甲下の角質やゴミをゾンデ(スケーラーゾンデ)で取り除きます。
そこで、爪の形、どこまで切るか、問題は何か、を見ていきます。

爪を薄く・安全に整える

分厚くなった爪は無理に切ると割れたり、皮膚を傷つけたりしてしまいます。
そのため、グラインダー(専用器具)を使って、少しずつ厚みを取ります。
厚みを調整したあとで、専用の爪切り(ニッパー)で長さを整えます。

爪の端が食い込んでいる場合は、細いコットンをそっと挟んで圧迫を軽減します。

「痛みがないように」「見た目も清潔に」を意識して、丁寧に仕上げます。
血行を促しながら爪を柔らかくすることで、後のケアがスムーズになります。
爪ブラシを使って、爪の間や爪周りも清潔に保ちます。

爪白癬(爪水虫)に侵されている場合は、ボロボロと爪がなくなってしまう場合がありますが、感染源は可能なかぎり取り除きます。グラインダーで削っていく場合は、正常な爪の厚さ(0.5〜0.7mm)を目指します。

洗浄と保湿ケア

爪を整えた後は、アルコールではなく肌に優しい洗浄液(コラージュふるふる泡石鹸)とブラシ(ダイソーで購入したお掃除用ブラシ)で洗浄し、フットケア用に準備した保温のきく水筒で流します。
たためる足浴バケツにペットシーツを中に敷いたビニール袋を準備して、そこで洗います。

爪を削った後もさっぱり、きれいになります。
最後に保湿クリームで足全体をマッサージしながら保湿します。

爪白癬や肥厚爪の方は、皮膚の乾燥が強く、
かかとや爪周りがひび割れていることもあります。
保湿を続けることで、皮膚のバリア機能を保ち、感染を防ぐことができます。

自宅訪問時の足浴風景

🧴私が使っているおすすめ保湿クリーム

ケア後やご自宅での毎日のケアにおすすめのクリームです。

ベーテル保湿クリーム

医療・介護現場でも使用されるやさしい保湿剤。
ベタつかずしっとりなじみ、爪の周りにも使いやすいです。

ミノン全身保湿クリーム

低刺激で、乾燥してかゆみが出やすい方にも安心。
お風呂や足浴のあとの使用で保湿効果が高まります。

🔹どちらもドラッグストアやネット通販で購入できます。
続けやすい保湿ケアが、爪と皮膚の健康を守ります。

その他、フットケアをしている看護師さんは、佐鳴やオンラインショップペディ、ハビッツ、ビューティーガレージ、WPST などネイルグッズを取り扱うサイトで、おすすめのクリーム、オイル、を自分で購入して試すのもおすすめしています。

安心して続けるために

訪問ケアでは、「どこまでできるか」「どこまで必要か」を一緒に確認しながら行います。
痛みが出やすい方や不安のある方も、
毎回のケアで少しずつ変化を感じていただけるようにしています。

爪白癬は、全身状態がある方など、菌の繁殖による炎症にもつながります。できるだけ、皮膚科受診、及び治療(軟膏)についても検討してください

最後に

訪問フットケアのご相談やご予約は、訪問足ケアサービス あしよし のホームページからどうぞ。

ご自宅で、爪が切れないことでお悩みの方はご連絡、お待ちしております

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